2011年3月8日火曜日
安い、早い、手軽! 電子自費出版にブームの兆し
電子書籍を閲覧できる携帯型端末機の普及に合わせ、「電子自費出版」を後押しするサービスがインターネット系企業を中心に相次いでいる。自作の文章を安く、手軽に、早く発表できる点が特徴で、中には無料で作成、配信するサービスもある。先行する米国では電子本で人気を得た作品が印刷物として書籍化された例がある。日本にも自作を百冊以上売ったOL作家がいるなど、趣味の幅を広げるとともに、新人作家を生み出す新たなルートとしても利用が拡大しそうだ。
ネット関連サービスのpaperboy&co.(ペーパーボーイ・アンド・コー、東京都)の電子出版サービス「パブー」のサイトでは、すでに9800冊以上の電子本を公開している。小冊子程度の作品から小説、漫画、写真集などジャンルは幅広い。
登録すれば作者はサイトを無料で利用でき、作品の公開価格は無料から3000円までの間で選べる。有料作品では売り上げの70%を作者が受け取る。あるOL作家は歴史小説を有料で公開し、百冊以上を売ったという。
中堅出版、アルクの子会社、ヒトメディア(東京都)は昨夏から無料サービス「WePublish(ウィーパブリッシュ)」の提供を始めた。森田正康社長は「自身の知識を社会に提供したいという需要は大きい。大学の研究者らが論文を出版する例もある」と話す。ドリームネッツ(広島県)も自費出版サイト「ウック」を昨秋開設。月1000円からの有料サービスだが「書きためたブログを出版した人もいる」(井上一成社長)という。
印刷物で自費出版をする場合、ページ数にもよるが「300部で100万円前後」(NPO法人の日本自費出版ネットワーク)が自己負担の相場とされる。また作業も煩雑で、納品までに1カ月以上かかる。電子本なら原稿さえ完成すればすぐに“出版”できる。
早さ、安さ、手軽さから米国では友情をテーマにした自費出版の電子小説が人気を集め、印刷されて書店に並んだケースもある。
ブームの兆しに、シャープと共同で配信サービスを始めたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が「将来的には扱う方向で検討する」とするなど、電子自費出版はさらに広がりそうだ。
ただ、編集者の目を通さない電子本には質的な問題を不安視する向きもある。出版規模が拡大するにつれ、内容のチェック体制が課題として浮上しそうだ。
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