2011年8月24日水曜日

芸能界と暴力団 断ち切れぬ関係

島田紳助さんの突然の引退劇により、芸能界と暴力団との関係が改めて明らかになった。

 両者のかかわりは古く、戦後には山口組の田岡一雄3代目組長が美空ひばりさんらの興行で資金を稼いだケースもあった。

 芸能評論家の肥留間正明さん(62)は「昔はキャバレーなどでの興業で、暴力団にみかじめ料を払うことが多かった。今では市民会館やアリーナで興業を行うことが多いが、イベンターが実は暴力団関係者という話はよく聞く」と話す。

 総合エンターテインメント産業を目指す吉本興業は昨年、グループ行動憲章に「反社会的勢力からの接近に対しては、断固として対決し、一切の関係を持たないことを誓います」と明記するなど、来年の操業100周年を前に暴力団関係者らとの接触には神経質になっていた。島田さんは「引退」で身を引いたとしているが、肥留間さんは「吉本興業による事実上の解雇。ダークなイメージのタレントを抱えることはマイナスにしかならない。稼ぎ頭を“クビ”にしたのは、暴力団との付き合いがもはや黙認できないほど深いものになってしまっていたことが背景にある」と指摘する。

 「暴力団と芸能界は、持ちつ持たれつという関係の部分がある」と話すのは、暴力団に詳しいノンフィクションライターの溝口敦さん(69)。

島田さんの会見では「人を介しての付き合いなのでセーフだと思っていた」「(トラブル解決後に)お金を渡さなきゃいけないのかなと思ったが、『馬鹿なこと言うな。心の中でつながっていればいい』と言われた」と、暴力団側から“侵食”される手口も明らかにされた。溝口さんは、暴力団側のメリットとして「芸能人と親交を持て、連れ回せれば大きな顔ができる」と指摘。一線を越えた芸能人側には、売れ残ったチケットをさばいてもらったり、トラブルの仲介を頼めるメリットがあるという。

 ただ、「暴力団との交際に法律的な罪はなくても社会的には問題との認識が強まり、暴力団の影響力や経済力も弱体化している」と溝口さん。「芸能人にとって暴力団と付き合うメリットは少なくなってきており、関係は次第になくなっていくのではないか」

 暴力団排除の風潮で表面化しにくいが、肥留間さんも「今回のケースは、暴力団と付き合えば引退しなければならないという一罰百戒的な意味を芸能界に示せた」と“浄化作用”に期待を寄せる。

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